オザワ不動産へのお問い合わせで非常に多いのが古民家物件。古民家を探している理由は様々ですが、自然あふれる田舎でゆっくりとした時間を過ごしたいという思いは私も非常に共感できます。そして豊中・吹田・箕面あたりにお住まいの方が古民家を探すエリアで一番人気なのが豊能郡(豊野町・能勢町)。車で1時間ほどで通えるので、セカンドハウス的な物件をこの辺りでお探しの方はめちゃくちゃ多いですね。
ただ、良い物件があっても田舎特有の問題点があり、それが下水問題です。公共下水が通っていれば問題ないのですが、場所によっては浄化槽・汲み取り仕様であることも全然珍しくありません。ただ都市部に住んでいれば浄化槽・汲み取りなどに触れたことがないのでよく分からん、という方も多いはず。
そんな中、ちょうど能勢の下水関係を調べることがあったのでついでに記事にしてみました。今後能勢エリアで古民家を買う方はご参考ください。
まず、ざっくりとですが私が役所で聞いた話をお伝えいたします。能勢町を名月峠を境に東西に分けたとき、東側が下水管なし、西側はそれなりに下水管ありという分け方にできるそう。もちろん西側であっても油断せずちゃんと通っているかの確認は必要ですが、おおよそのエリア分けはこんな感じです。(西側の役場周辺の、住戸が密集している地区は比較的下水管整備済み)
今回私が下水を調べたのは野間(東側)というエリアで、能勢町浄化センターの担当に「野間は下水管があるか知りたい」と伝えたら調べることもなくノールックで「あ、野間は(下水管が)無いですね。」と言われるほど普及していない場所です。
下水管が普及していないエリアでは汲み取り・浄化槽の2パターンで汚水を処理しています。汲み取りはいわゆる「ボットン便所」ですね。定期的にバキュームカーで掃除してもらうやつです。汲み取りのデメリットは
が一般的には挙げられるでしょうか。物件を内覧しているときに「この物件は汲み取りです」と伝えると、皆さん総じて好きなおにぎりの具を取られたときのような悲しい顔をされるので、私もとても心苦しいのです。では汲み取りを改善する方法はというと『浄化槽』です。
浄化槽は個人宅の下水処理場のようなもの。ざっくり言いますと、雑排水や汚水をタンクに流し、タンク内にいる微生物の働きによって水をキレイにし排水する仕組みとなっています。これによって汲み取りよりもより良いトイレ環境ができあがるわけです。
ではなぜ今だに浄化槽ではなく汲み取りのところがあるのかと言うと、浄化槽を設置するにはそれなりの費用がかかるからです。
まず浄化槽にはサイズがあり、それによって値段が変わります。どのサイズの浄化槽を設置するかは家の延床面積(130㎡以上かどうか)や二世帯住宅かなどによって5人槽・7人槽・10人槽と変わるのですが、一般的なものは5人槽と呼ばれるもので、タンク設置だけでおおよそ100万前後はかかります。ここで気をつけたいのは、タンク設置だけで、という部分です。
そして能勢町では浄化槽設置に対して補助金があり、諸条件を満たせば概ね4割(36万円)が最大の額として補助してもらえます。(※2024年現在、5人槽の場合)
ここで「じゃあ60万くらいで浄化槽設置できるのか、ラッキー」となるかと言えばそうではありません。
この補助対象ですが、上記画像の「タンク部分のみ」なんです。残りのキッチン・洗濯機・風呂・トイレからタンクへ繋がる配管、及びタンクから外の側溝へ流す配管は実費負担となります。
結局
「100万-36万円+配管代」
の費用がかかるので、なんやかんや100万円は超えてくる相場感で考えておいた方が賢明です。
浄化槽は設置したらそれで終わり、というわけではなく定期的なメンテナンスが必要です。
【法定検査】(年1回)
大阪府知事が指定する検査機関に依頼し、水質に関する検査を受けること。
→一般社団法人 大阪府環境水質指導協会
【保守点検】(年3~4回)
浄化槽が正常に働き、処理水が法律で定める基準内で放流されるよう定期的な点検が義務付けられています。
【清掃】(年1回以上)
浄化槽内に溜まった汚泥や微生物の死骸などを引き出し、機器類の洗浄を行うこと。(バキュームカーによる吸引)
保守点検・清掃に関しては能勢町指定の業者が3社あるのですが、能勢町で大抵の方が依頼している株式会社ホンダの情報を載せておきます。
→株式会社ホンダ 072-737-0100
ちなみにこのホンダさんですが豊能郡界隈で不動産業も行っているので、もしかしたら古民家情報を持っているかもしれません。気になる方はお問い合わせしてみてください。
というわけで豊能郡、とりわけ能勢町の下水事情を書かせていただきました。長年探し回って憧れの古民家物件を見つけても、いざ内覧した時に現実的な問題がいろいろ出てくるのが古民家あるあるですから、今のうちに対策方法を考えておきながら探すのがベストです。
オザワ不動産では引き続き、北摂界隈の古民家情報をお届けいたしますので今後ともよろしくお願いいたします。
以上、能勢の下水事情でした。